3巻では、東三千子の希望により、東家に、“理想のお母さん”である雛崎みゆきが派遣され、東丈は彼女に魅了されると同時に、ダウジング(振り子)を教わる。
一方、東美叡は、伯父・姪の関係を捨て、東丈と事実婚の関係になるが、 古巣の警視庁から呼び出しを受け、上司から戻ってきてほしいと懇願されたことや、三千子を襲ったと思われる“顔焼き男”の手掛かりが得られそうになったため、警察官の仕事に復帰することになる。
東丈は、振り子の導きに従い、夢の中で、別の世界(パラレルワールド)にいる自分を体験する。
そこでは、 東丈は、夫を亡くした雛崎みゆきとその二人の子供の父親として充実した人生を送っていた。
4巻で、東丈は、心の離れてしまった東美叡、家に戻らない東三千子のいない世界から、雛崎みゆきとの家庭がある別の世界に旅立つ。
そこで、東丈は、(無印)幻魔大戦同様、十七歳の体に戻るが、精神年齢は54歳のままで、時代は1990年代の日本。
そして、婦人警官二人を子分につけ、べらんめえ調の親分的な存在となる(笑)。
雛崎みゆきとも再会し、前の世界でも友人だった猿坊の紹介で、政界にも顔が利く矢田氏の信頼も得、東丈事務所も持ち、 秘書はなんと青鹿晶子(ウルフガイのあの人)。
物語は、正直深みはない。だが、筆がのっているというか、物語がドライブしている感じは受ける。
その勢いのせいで、ついつい読みきってしまった。
(無印)幻魔でも、真幻魔でも、東丈は物語途中で失踪してしまうことになるが、このDeepでも、やはり、彼は一つの世界でじっとしていられず、周りにいる人々を置き去りにして、自分は失踪する。
(ただし、このDeepでは、失踪した東丈と一緒に読者も別世界に移動するというところが違う)
それは、はっきり言えば、その世界が続けば、物語が袋小路に入り込んでしまう気配が濃厚に感じられるからだろう。
ひょっとすると、この物語の煮詰まりかたそのものが、ある意味、この「幻魔大戦」シリーズを一貫して頓挫させてきた「幻魔大王」の正体なのかもしれない。
作者は、そんな取扱注意の主人公 東丈をなんとかして物語の中で生かそうと必死になっている。
辛くなったら甘えられる雛崎みゆきという母性的な意味合いが強い女性をそばに置き、女性たちに、べらんめえ口調で親分を気取らせるなんて。
史上最もひ弱な主人公なのかもしれない。
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