2015年2月18日水曜日

アパルトヘイトをめぐるThe Daily Beast の記事

内田樹さんのブログで、また、気になる記事があった。

アパルトヘイトをめぐるThe Daily Beast の記事から
http://blog.tatsuru.com/2015/02/18_0935.php

作家の曽野綾子氏が、産経新聞のコラムに書いた記事が問題になっているらしい。

http://pbs.twimg.com/media/B9hkP4DIAAAGKYa.jpg:large?.jpgpdf

この文章を読むと、日本の労働力不足による補充のために移民の受け入れは不可避であるが、移民とは一緒には暮らしたくない!という思いが、せつせつと伝わってくる。

しかも、ご丁寧に、曽野氏が何故そう思ったかについて、
「20~30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった」
という内心まで吐露している。

これでは、The Daily Beast の記事において、
日本の全国紙の一つのコラム内で南アフリカにおける人種隔離政策(アパルトヘイト)を日本の移民政策のモデルとして称賛する文章を発表した。
と報道されても仕方がない内容になっていると思う。

この記事に対して、、南アフリカ駐日大使およびNPO法人アフリカ日本協議会が、さらに、国内のアフリカ研究者の組織「日本アフリカ学会」の歴代会長ら約80人も、コラムの撤回や関係者への謝罪などを求め、連名の要望書を出しているという。

私が、The Daily Beast の記事を読んで、もっとも気になったのは、産経新聞以外の日本のマスコミが本件を報道する際、曽野氏が、安倍首相の肝いりで発足した「教育再生実行会議」の元アドバイザーであった事実、そして、文科省によって昨年全国の中学に配布された教材「私たちの道徳」の中で、曽野氏が書いた「誠実な心」が取り上げられていた事実について、全く触れていなかったということだ。

民主党政権で、仮にこの問題が起きていたら、読売新聞を筆頭に、曽野氏と政権との関係を徹底的に糾弾していたのではないだろうか。

倫理を訴えるのも権力とのバランス次第という事なのだろうか。

日本のマスコミが、大した事件ではないという認識を持っているとしたら、日本という国が、世界的な歴史認識と倫理規範に、相当鈍感な国だと思われても仕方あるまい。

こんな国が、慰安婦問題について、戦後の歴史認識について、いくら自己の正当性を主張しても、誰も信用しないだろう。

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