こと、原発問題に関して、NHKスペシャルの取材・調査能力は非常に高い。
いまだ解決していない福島第一原子力発電所の「汚染水」問題に関して、何が問題なのかがよく分かった。
そもそも、「汚染水」というものがどこから生まれるのか。
「汚染水」は、いまだ熱を持っている核燃料棒を冷やすために格納容器に注がれている。
核燃料に触れた水は「汚染水」となる。
本来なら格納容器に溜まるはずの水が、破損箇所から漏れ出し、外へと流れ出し、地下水と混じり、海へと流れていく。
どこが破損箇所なのかを突きとめるため、カメラを積んだ小型ボートが格納容器近くを撮影したところ、滝のように流れ出している汚染水が撮影された。
破損箇所も一部見つかった(しかし、他にも破損箇所がある可能性もある)が、一箇所はサンドクッションドレン管という、結露の水分を流すためのものなのだが、そこから勢いよく水が漏れ出している。その部分はパイプの付け根付近なのだが、どこが破損しているかを見定めるためには、5cmほどの隙間から見るしかないという(現場は2シーベルトという人間が3時間いれば死に至るという高い放射能)。
専門家の意見では、ロボットの開発にかかっているというが、その間にも1日400トンもの汚染水が生まれている。すでに汚染水を入れるタンクは1000基に達している(しかも、そこからも水漏れしている)。そして、汚染水からは、トリチウムは20年間、セシウムは40~50年は出続けるだろうとのこと。
もうひとつの問題は、破損箇所から漏れた「汚染水」がどこから、外に漏れて地下水と混じってしまうのか、場所を突きとめられずにいること。
疑われていたトレンチをコンクリートで固めても、湾内のセシウム137の濃度は、一時期、下がったものの、いまだ下がらず、国の基準を超える時期もあるという。
建屋にも破損箇所があり、そこから漏れている可能性もあるのだが、地下水より建屋の汚染水の水位を低くするという対策では十分ではなかったようだ。
さらに、海への流出を防ごうと地下で固る水ガラスを海岸沿いに流し込んだが、これでも、湾内のセシウム濃度は下がらなかった。原因は、弧を描くように複雑な動きをする地下水の流れにあるらしい。
もっと怖いのは、現在多く検出されているトリチウムの次に、セシウム、ストロンチウムが、これから遅れて流れてくるという事実があるらしい。つまり、汚染はこれから拡大していくのだ。
国もようやく本腰を入れ、1号機から4号機までを地下水路よりさらに深く、凍土壁を埋め込み、汚染水の流出を防ごうというプロジェクトを始めたらしい。
しかし、まだ、試験段階のようで、仮に上手くいったとしても開始してから完成するまで1年はかかるということらしい。
この途方もない作業を、日々年間被爆量と戦いながら作業者3000人のうち約半数は、地元福島の人だという。本当に現場で働く人たちの健闘を讃えたい。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1201/index.html
汚染水は完全にコントロールされていると誰かが言ったような気もするが、そんなたやすいことではないという事実をよく分からせてくれた番組だった。
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