原爆投下の3年後の広島の物語。
登場人物は、原爆で生き残った娘の美津江と、亡くなった父の竹造の二人だけ。
竹造は幽霊ということなのだろうが、どこか剽軽で明るい。そして、いつも美津江の将来を気にしている。
美津江は、原爆で過酷な死を強いられた人々を忘れられず、自分だけ幸せになることを恐れ、訪れた婚機を拒否しようとする。
竹造は、そんな美津江を必死になって説得する。
そして、二人の話は、原爆投下の日、瀕死の竹造を置いて行かざるを得なかった美津江の状況にさかのぼってゆく。
あの日、こんなつらい決断をした人々は、どれだけいたのだろう。
そして、それを背負いながら生き続けた人々も。
亡くなったしても、願えば、死者は生き残った者の心に生き続ける。
父娘の最後のやり取りが悲しいけれど、暖かい。
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