ちょうど、この本(副題:なぜ、プロジェクトは、予定どおりに進まないのか?)を読み終わったところだったので、よけい、そう感じたのかもしれない。
この本では、MBAのビジネススクールで行われるプロジェクト・マネジメントの教室が主な舞台なのだが、その講師が定義する「プロジェクト」の定義が分かりやすい。
目標を達成するために、どの作業をどういう順で行わなければならないのか、あるいはどの作業をいつ始めていつ終わらせたらいいのかタイムチャートを作ったことはありませんか。もしそのようなチャートを使って仕事をした経験があるのなら、プロジェクトを経験したことがあるということです。その「プロジェクト」が、何故、ほとんど、期限までに終わらないのか。
この本は、その原因について、以下の問題点を指摘している。
・ステップ毎の余裕時間の積み増し
計画を立てるときに、プロジェクト全体をスケジュールどおりに終わらせるには、各ステップがそれぞれ定められた期日までに作業を終えるしかないと当然のことのように考えてしまう。そして、ステップ毎に、「まず大丈夫」という余裕時間を積み増して見積ってしまう。
・学生症候群
期限までに時間的な余裕があるとつい他の事に手が出て、結局ぎりぎりまで作業に着手しない傾向をいう。ぎりぎりまで着手しないから結局、予定の期限には間に合わなくなる。
・掛け持ち作業の弊害
複数のプロジェクトを担当し、優先順位が不明確だといずれのプロジェクトにも「均等に」時間を割かなければならなくなるため、ひとつに集中し終了させるのに比べ、段取りのロスや待ち時間のために所要時間が大幅に延びる。
・依存関係
作業同士が依存している場合、ひとつの先行作業が遅れるとそれが後続の作業に波及してしまう。
そして、これらの問題点を解消するためには、
・期限は設けず、作業期間のみを提示し、作業が回ってきたらすぐに着手し、終わればすぐに申告する。
・個人の時間見積もりは余裕を持たず、「厳しそうだが、やればできる」時間にする。削った余裕はプロジェクト全体の余裕として集中する。
・複数のプロジェクトが集中しているリソース(特定の作業を行う人と考えると分かりやすい)に対しては、事前のスケジューリングの段階で、仕事の優先順位を明確にし、リソースの競合(掛け持ち作業)に陥らないようなスケジュールを作成する。
などの革新的な手法を提案している。
物語の中で、下請業者に、期限を約束させず、利益を上乗せすることで短縮した作業期間を約束させるという、本当?と疑いたくなってしまう交渉の場面が出てくるが、それなりの合理性が感じられるので、一度は実際に試してみたい、と思わせるものがある。
ビジネスに携わる人であれば、誰しも興味を持ちそうな課題を取り上げ、物語の中で革新的な問題解決の手法を説明するエリヤフ・ゴールドラットの小説。
私にとっては、まさかの4冊目の読了となった。
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