登場人物は、男一人と犬一匹だけ。
男は、仲間が待つ採鉱地に行くため、氷点下50度以下の雪に覆われた森の中を、犬を従え歩き続ける。
凍傷にかかるリスクと雪に隠された川に落ちるリスクを避けることに男は全力で集中するが、川に落ちてしまい、凍傷を回避するために火を熾(おこ)すのだが、男のちょっとした判断ミスで、火は消えてしまい、二度目の火熾しをするための指や手が動かなくなってしまっている自分に気付く。
筆者のジャック・ロンドンは、カナダ北西部に金鉱探しの旅に出た際、越冬の経験をしたということだが、この短編小説からは、実感として、人間の叡智と必死の努力も及ばない自然の厳しさがストレートに伝わってくる。
余計な心理描写がないところもいい。
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