NHKスペシャル「未解決事件/file.02 オウム真理教」が、とても興味深かった。
第二夜で放映された内容によると、地下鉄サリン事件が起こる約半年前(松本サリン事件が起きた1ヵ月後)には、警察は、オウムとサリンの接点にすでに気づいていたというのだ。
しかも、松本サリン事件を担当していた長野県警、坂本弁護士一家殺害事件を担当していた神奈川県警が、それぞれの捜査で、その事実を掴んでいた。
しかし、これら県警の情報提供を受けた警視庁は、サリンを作るだけの行為(日本ではこれを犯罪とする法律がなかったという)では、直ちに、強制捜査に踏み切ることができなかった。
1995年1月には、読売新聞一面に、オウムとサリンの疑惑について、マスコミがすっぱ抜いても、なお動けず、2月に起きた公証役場事務長監禁致死事件で、ようやく、3月22日に強制捜査を実施することとなった。
しかし、その情報を事前に察知した麻原が、これまでと思い、自らハルマゲドンを起こすべく、サリンを急遽作らせ、3月20日、霞ヶ関につながる地下鉄各線にサリンを散布する計画を立案した。
警察は、地下鉄サリン事件の情報を察知できず、逆に、オウムは、強制捜査の情報を掴んでいたのだ。
同じような話は、1990年10月の熊本県波野村の強制捜査の時にもあった。
当時、教団のNo.2であった上祐氏が語っていたところによると、このとき、すでに、オウムは武装化計画を実施しはじめていたが、オウムが、熊本県警が強制捜査に踏み込む情報を事前に入手(女性信者の夫が熊本県警に勤めていたという)し、強制捜査時には、武装化の事実を隠蔽することができた。
結局のところ、警察は、情報戦でオウムに負けてしまったといってもいい。
情報がぽろぽろ漏えいするあたりも、情報セキュリティが相当に甘かったと言わざるを得ない。
(今は改善されているのだろうか?)
奇しくも、原発事故に関する国会の事故調査委員会で、官房長官であった枝野氏が、「情報を政府として十分に集約し、それに基づく予想、想定ができなかったことこそ反省すべきだ」と述べていたが、オウム事件にも十分言えることだったと思う。
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