立花隆さんが、今年4月30日に亡くなっていたというニュースをみて、私も一つの時代が終わったなという感慨を抱いた。
今でも、本棚に見え隠れする立花隆の著書。
「田中角栄研究」
「ロッキード裁判批判を斬る」
「日本共産党の研究」
「農協」
「中核VS革マル」
「宇宙からの帰還」
「宇宙よ」
「文明の逆説」
「サル学の現在」
「青春漂流」
「精神と物質」
「脳死」
「知のソフトウェア」など
作者のこの頃の著書は、むさぼるように読んでいたような気がする。
一貫して感じるのは、彼の仕事の誠実さと桁外れの知的好奇心だ。
膨大な資料を徹底的に読み込み、事前に勉強をしてから、対象者にインタビューを行う。
新聞や雑誌の関連記事は、テーマごとにスクラップブックにファイリングする。
収集した情報に基づき、年表や図表を作成し、事実関係を整理し、分析する。
(この辺のノウハウは、「知のソフトウェア」に詳しい)
徹底した事実認識に基づき文章を書く。実にオーソドックスなやり方といえるかもしれないが、このようなスタイルで仕事を貫いているジャーナリストは今、いるのだろうか。
知的好奇心という点では、著書のタイトルを見ればわかるが、政治、宇宙、人体、環境問題、絵画など、あらゆる分野に口を突っ込んでいた。自らを学問のディレッタント(好事家)と呼んでいたが、「文明の逆説」のような、やたらスケールが大きい本を書いていることからもわかる。
私個人の勝手な思いだが、立花隆は、インターネット時代到来前のほうが、ずっといい仕事をしていたような気がする。膨大な紙の資料をかき集め、そこから情報を抽出し、有機的に結び付け、隠れていた事実を明らかにし、時の政権を倒すことに寄与するほどのペンの強さを見せつける。今思うと、まるで神話のような話だけれど。
そういう堅実な方法で膨大な著書を書き上げ、ジャーナリズムの黄金期を作った人であることは間違いない。
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