本書は、エリヤフ・ゴールドラットが、娘との対話の中で、人はいかに充実した人生を送ることができるかを考察したプロセスを物語にした本である。
娘の視点で物語は進むのだが、実際にこれを書いたのは、父親であるエリヤフであることを思うと、ちょっと不思議な印象を受ける。
その教訓を以下に記載してみる。
・人はもともと善良である。
・すべての対立は解消できる。
・ものごとは、そもそもシンプルである。
・どんな状況でも著しく改善できる。
・どんな人でも充実した人生を達成することができる。
・常にwin-winのソリューションがある。
どうでしょう。なるほどと思う人はどれぐらいいるだろうか?
少なくとも私は、すぐに腑に落ちませんでした。
しかし、メモ帳に、これらの教訓を書き写して、本書で気になったセンテンスを書き加えて、しばし考察してみると、なるほどと思うところがあった。
上記の箴言を裏返してみると、どうだろう。
・人(取引相手と考えてみる)は、こちらの立場を考えず、利己的で、邪悪なものだ。
・対立は当たり前で仕方がないものだ。これを解決することはできず、妥協点を見出すしかない。
・現実は複雑である。
・人は変化を好まない。だから、自分がいくら頑張ってもその改善には限界がある。
・取引はwin-loseが基本で、どちらかが妥協するしかない。
この裏・箴言は、ほとんど、「大人の常識」といってもいいものではないだろうか。
ゴールドラットは、このような常識が、人が真実(原因と結果の関係)を明晰に考えることの障害になっているという。
現状の課題をブレイクスルー(打破)するためには、常識を一旦捨てる柔軟性が必要なのは間違いない。そう考えると、まさに常識を逆にゆく、一見、性善説と楽天主義の極みのような上記の箴言に、真実味を感じとることができる。
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