豊川氏が、佐村河内 某氏そっくり(笑)に見えてしまったところは、ある意味残念だったが、バルテュスの絵画とモデルの女性の変遷にターゲットを絞っていた部分は分かりやすく興味深かった。
アントワネット
テレーズ
三人姉妹
フレデリック
節子
アンナ(晩年は、絵筆が持てずにポラロイド)
特にバルテュスがヴィラ・メディチの館長になっていた時期は、正式な妻がアントワネット、実質的なパートナーはフレデリック、そんなところに節子さんが日本から呼ばれ、一緒に暮らしはじめるという複雑な関係だった。
才能のある男に気に入られ、その関心はしばらく続くが、やがて、別の対象へと移っていく残酷さ。
それが分かっていても、彼が望めばモデルにならざるを得ない力が働いたのだろうか。
ふと、山岸涼子のバレエを舞台にした短編漫画「黒鳥 ブラック・スワン」を思い出した。
主人公のマリアは、過去にも離婚歴がある敏腕振付師ミスターBに気に入られ、結婚することになる。しかし、マリアは、次第にミスターBの求める振り付けを踊れない自分に気づき、彼の興味の対象が別の若い踊り子に移っていることに気づき、無意識にその子を呪ってしまうという、ある意味、残酷な物語だ。
NHKの番組では、節子夫人のインタビューもあった。
晩年のバルテュスの実務的な部分をサポートし、実質的なビジネスパートナーになり得た節子夫人は、相当我慢づよく、クレバーな人だったのではないかという気がする。
番組では、バルテュスの絵画が、少女への性的興味とは切り離されていたかのような説明だったが、彼の絵には、そんな無難な説明をはみ出てしまう妖しい魅力がある。
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