2013年10月8日火曜日

恋しくて/村上春樹 編訳

雑誌「ニューヨーカー」を中心に、村上春樹がセレクトした恋愛小説が10編収められている。

最後の作品「恋するザムザ」が読みたくて買ってしまった本だが、読んでみると中々面白かった。

恋愛小説というと、陳腐な筋立て、幼稚な馴れ合い、下品な表現のせいで、つまらないどころか、ベトベトした感触まで思い浮かんでしまうものもあるが、この作品集は、洗練されていて、大人が読んでも十分楽しめる内容になっている。

個人的には、村上春樹が各作品の終わりに付けている「恋愛甘苦度」の苦味が高いものが好きです。

「薄暗い運命」とか、「ジャック・ランダ・ホテル」とか、「モントリオールの恋人」とか。

最後の「恋するザムザ」は、村上春樹のオリジナル短編で、カフカの「変身」を題材にしたちょっと(かなり?)変わった恋愛小説だ。

ナチス占領下?の街で、ザムザがこんな風に生きられるのなら、「変身」をして恋愛することは決して悪いことではない。

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