最近、平日が忙しいので、運転免許証の更新手続をするため、十年ぶりに、運転免許試験場まで行った。
住んでいるところからちょっと距離があるのだが、見慣れない電車で見慣れない駅に降りて見慣れない町並みを十五分程歩く。
試験場に着くとすでに窓口には、多くの行列ができており、更新手続きの人は、①の窓口にならばなければならない。
①の窓口では、お巡りさん?らしき格好をした男の人に、住所変更の有無を確認され、無いと言うと、申請用紙、臓器提供のパンフレットと手続きの流れが書かれた地図をもらい、申請書の赤枠部分を記入してくださいと言われる。
②の手続きとして、申請書を記入。
手続きの地図をみると、全部で7つの手続きを済ませなければならない。やれやれ。
③で適性検査(視力検査)を受ける(視力がだいぶ悪くなっていてギリギリ裸眼でセーフ)。
④で暗証番号を設定する。
5年前ぐらいに、偽造防止のためにICチップを埋め込んだハイテク免許証に切り替えたようなのだが、ICチップを読み取り装置を持っている人が至近距離まで近づくと、そのICチップのデータに記録された個人情報を読み取られてしまうらしい。
それを防止するため、暗証番号が必要ということなのだが、何だか面倒。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/menkyo/ic/ic.htm
偽造防止のためだったら、そんな個人情報を抜き取られる恐れがあるICチップを埋め込まなくても、もっとやりようがあるのではと思ったりする。
⑤の窓口で収入印紙(優良だと3100円)を買い、スポンジで濡らして申請書に貼り付け、それを今度は⑥の窓口で受付してもらう。
それをもって、⑦の手続き、写真撮影があるのだが、ここで二十分ほど並ぶ。
たぶん、スカイツリーに入るより並んだような気がする。
待ちながら、こんな手続き、民間に委託すれば、土曜日や祝日も、複数の場所で受けられるようになるのではと考えて、そういえば、前に来たときも同じことを考えたということを思い出した。
申請書、暗証番号の紙、古い免許証を差し出して、ようやく写真撮影。5秒もかからないうちに終了。安全運転BOOKを渡され、「赤い線に沿って歩いて、3号館の301号室に行ってください」と言われる。足元をみると、緑と黄色、赤のラインが引いてある。
赤い線に沿って歩いていくと、建物を一旦出て、別館に行くことになる。教室の前に着くと、また、紙を渡され、免許証の受領書に日付と署名を書けとのこと。
うーん。まだあるのか。
11時10分から講習がはじまりますので、席についてください、と係りの人に言われて、教室に入るとすでに百人以上の人が座っていた。
席に座って講習が始まるのを待っていると、講習の係りの人がSDカードの説明をしていた。
旅館やレンタカーで割引を受けられますよ、という説明をしていたので、なんだそりゃという感じだったが、本当に割引があるらしい(何故、木下大サーカス?)。
安全運転者に対する一種のご褒美的なものなのかな。
ここで20分ビデオ、10分間はお巡りさんらしき格好をした講習員の人の説明を聞く。
前に更新手続きをした警察署では、ビデオを流している部屋で、時間があったら見ていってくださいというような、かなりいい加減なものだったが、周りの様子を見ても皆さんまじめに視聴されていた。
ビデオの内容や教本も、前に受講した際のものよりはポイントを絞った簡素なものになっている点は好感がもてた。
講習では、自転車の通行方法の説明もしていて、道路標識がないと、原則歩道は通行禁止ということと、知らなかったのだが、高校生が携帯を見ながら自転車を運転していて事故を起こし、5千万円の賠償を命ぜられた事件についても説明があった。
講習が終わると、一人の担当者が「読み間違えがあったらすみませーん」と前置きして、一人一人の名前を読み上げて免許証を交付していく。「サエキヒロトさん、いや、ヒロヒトさんかな?」
何かすごくアナログだなぁ。
そんなこんなで、七十番目ぐらいにようやく免許証を交付される。(写真が自分で見てもかなり不機嫌なのが分かる)
カフカの長編小説「失踪者」の中で、主人公のカールがオクラホマ劇場の採用試験を受ける際、色々な窓口で煩雑な手続きをするシーンが、ふと頭に浮かんだ。
たぶん次の更新の時も同じことを考えるのだろうなと思いながら、運転免許試験場を後にした。
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