2012年11月10日土曜日

引き分けという選択

将棋の羽生善治さんがフランスのチェスの女王と言われるアルミラ・スクリプチェンコさん(なかなか美人)とチェスの試合をしているのをスカパーで観た。

羽生さんは趣味でチェスをやっている立場のようだが、日本ではランキング1位の実力らしい。

チェスを本業でやっている人からみると、羽生さんはちょっと迷惑な存在なのかもしれないが、将棋ファンでなくても、将棋の名人がチェスの世界でもその実力者と互角に戦っているのを見るのは、なかなか楽しい。

観ていて面白いと思ったのは、二人とも悩むところでは、かなり持ち時間を費やして長考していたことと、将棋と比べてみると駒の動き方がダイナミックなところだ。

今回は30分という短い持ち時間での試合だったが、二人とも重要な局面にくると、少ない持ち時間を気にせずたっぷり悩み悩んだ末、解説者も予想していなかったような大胆で意外な駒の動かし方をしていた。

また、今回2局の勝負であったが、いずれも結果は引き分けだった。
この引き分けというゲームの終わり方も面白い。

チェスには、何種類か引き分けとなるパターンがあるのだが、相手が引き分けを提案してきて、それを受け入れるという双方合意の引き分けという方法もあり、今回の2局はいずれもこの引き分けの方法だった。

将棋には、引き分けという方法なんかないのだろうと勝手に思っていたが、どうもあるらしい
それでも、チェスと比較すると圧倒的に勝負が決まる確率が高いといって間違いではないだろう。
(将棋では取った相手の持ち駒が使えるので、チェスのように消耗戦にならないのも一因のようだ)

しかし、この引き分けという終わり方、外野から見ると、勝ち負けがはっきりしないので面白くないという見方もあると思うが、当事者同士からみると、お互いのメンツを潰さない実に賢い選択ではないだろうか。

こういう白黒つけない事のおさめ方は、本来、日本人が得意としてきたやり方だと思うのだが、最近、妙に白黒つけないと気がすまない人が増えてきているような気がする。

お互いににっこり笑って握手を交わし戦いをスマートに終わらせた二人のチェスの試合に、引き分けという選択肢の魅力を再発見したような気分でした。

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