NHK BSの「シャーロック・ホームズの冒険」を見ていたら、段々、本物が恋しくなって、シャーロック・ホームズ全集 1「緋色の習作」を読んでみた。
なにせ「緋色の研究」を読んだのは、中学生時代。(新潮文庫の延原謙氏の訳だったと思う。なお、延原謙氏の訳もすごく読みやすい印象がある。確か、片岡義男氏も、延原謙氏の翻訳を「日本語訳としては最高のもの」と絶賛している。)
おぼろげな記憶では、ボームズとワトソンが出てくる第一部は面白かったが、第二部の犯人を巡る物語はひどく長く、読んでいてもよく分からないという印象が残ったままだった。
今回、訳がすごく読みやすかったせいもあるが、こんなに短い話だったのかということに驚いた。 なかんずく、オックスフォードフォード版の膨大な注釈が本の半分を占めているせいもあったかもしれないが、注釈をいちいち拾わずに読み切れば、あっという間に読み切れると思う。
題名がこの本では「緋色の習作」とされているが、二十五歳の若い医者 コナン・ドイルが、習作として書いたものという意味でとらえると、確かに、この題名の方が確かにしっくりくる。 一方で、A Study in Scarlet (緋色)という黄みがかった赤色をイメージすると、血の色=殺人もイメージさせ、犯罪研究という意味も思わせるので、どちらも有りなのかなと思った。
そして、第二部で語られる犯行の原因がモルモン教徒の特異な話(一夫多妻制*)だったのかということも初めて理解した。
*現在は廃止されている
なんと言っても、ホームズが初めて登場する物語である。彼が地動説や太陽系を知らない話(色々と雑多な知識を頭の中の狭い記憶倉庫に入れると、実務に必要な知識を失念してすぐに使えなくなる)は、なるほどと最初に読んだときに感心したものだったが、この本の注釈ではまるっきり反対のことが書かれていて、読んでいてい非常に面白かった。
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