ついにその日が来たかというのが訃報に接しての感想だった。
朝日新聞に不定期に掲載される彼女のコラムを読んで、内容よりも、ああ、まだ元気に生きているという思いをもって、いつも、彼女の文章を楽しんでいた。
なぜ、彼女に惹かれていたのか、自分でもよく分からないが、この人は、出家をしながらも、とても女性らしい人だと感じていた。
それは女性としての、細やかな気配りというより、可愛らしさのほうが際立っていたように思う。
尼僧でありながら、女を捨てきれない、そういう業のようなもの、大きな矛盾がこの人の中には渦巻いていて、常にエネルギッシュだったことが、わたしにとって大きな魅力だったのかもしれない。
そういう大きな精神を、矛盾を感じさせる人がいなくなってしまったことは実にさびしいことだ。
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