本刊では、次第に運気が下降していくジャンヌが、ついに敵方に捕らえられてしまう。
彼女が絶頂期にいたランスの戴冠から1年も経っていないのに、この運命の変わりよう。
そして、彼女の人気と勢いを今まで利用してきたシャルル7世やその異母ヨランド、大司教たちは自らの保身と政略から、捕らわれた彼女を見限ってしまう。
結末が分かるだけに、読んでいて少しつらい。
まだ続いている啓示の声「すべてを受け入れよ」「汝は解放される」が意味深だ。
個人的に興味をそそられたのは、ジャンヌが二度も牢獄から脱出を図ったこと。
シーツを破いてつなぎ合わせてロープ代わりにして、二十メートル近い高さの塔の部屋から逃げようとするのだが、重みに耐えかねてシーツは切れてしまう。
山岸凉子は、シーツを握りしめたまま、奈落の底に落ちていくようなジャンヌを描いている。
印象的といえば、敵国のイギリスに引き渡され、牢獄に入れられたジャンヌが自身の純潔だけは守りぬこうと決意する場面も。
男装と処女性は、彼女にとって神に選ばれし者であることを証明する最後の砦だったのかもしれない。
彼女を待ち受ける異端審問が今後の見どころになるのだろうか。
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