日々、様々な人の言葉を耳にはしているが、はっとさせられる言葉というのは、そうそうない。
最近でいうと、たまたま、読んだ朝日新聞で目にした瀬戸内寂聴さんのエッセイで目にしたこの言葉だろうか。
「福は内! 鬼も内!」
「ええっ?」
私より66歳も若いスタッフたちが笑いだす。
「鬼なんて、いらない!」
「ここはトランプのアメリカとはちがうのよ、寂庵だもの、誰でも、何でもこばまない」
「わたしたちにも撒かせて」
娘たちも掌にいっぱい豆を握り、私の声に合わせた。
「福は内! 鬼も内!」
若い笑い声がはじけ、魑魅魍魎が喜々として駆け込んでくる気配がする。
前に、NHKスペシャルで、瀬戸内寂聴さんが暮らす寂庵の様子を見たことがあるが、彼女を支援する若い女性に囲まれながら、負けじと若々しい精神を保っている寂聴さんのバイタリティが垣間見えた。
彼女の一見無茶とも思えるようなひと言で、鬼って一体何だろうと、引きづるように長く考えさせられた。
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