夜、眠れずに本を読んでいたら、蜘蛛が押入れから出てきた。
体長5cm程度の、ちょっと大きめの蜘蛛だ。
蜘蛛は、天井辺りの高さの壁を慎重に歩いていたが、僕が、
殺虫剤のスプレーをかけると、戸惑ったように逃げ回り、
何度か、スプレーを吹き付けていたら徐々に動きが鈍くなった。
僕は、新聞紙を丸めて、ひっぱたき、蜘蛛は体を丸めて、
床の上に落ちた。
体を丸めた蜘蛛は小さかった。
白い壁には、墨のような跡が残った。
僕は、蜘蛛の死骸をティッシュでくるみながら、今まで殺生してきた
生き物・虫たちのことを考えた。
そして、放射能を浴びても虫は何ともないのか、何故か気になった。
ガイガーカウンタに表示された0.4マイクロシーベルトの数字。
今年8月、陽ざしは強いが南から吹いてくる微風に青く染まった
僕の故郷は、きらきらしていた。
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