オルレアン解放を成し遂げたジャンヌは、ジャルジョーの戦い、パテの戦いと、次々と勝利を収め、ついに神から啓示を受けた「ランスの聖別」を成し遂げる。
しかし、彼女は、まだイギリスに占領されているパリ奪還を王になったシャルル7世に進言し、あくまで戦闘の継続を主張する。
彼女にも変化が現れる。戦いのときに御旗を掲げた高貴な姿は影を潜め、剣を自ら抜き、戦闘の意思を強くにじませた姿を見せるようになる。
そして、彼女の影響力を恐れた王の取り巻きたちの思惑もあり、彼女の主張するパリ奪還の道は遠ざかるどころか、彼女の軍から戦士たちが離脱していき、国王軍も解体される。
手薄となった味方の中で、彼女は足を弓で撃たれ怪我を負い、はじめての敗北を喫する。
王の援助もなく、次の戦いでも敗北し、肉親のように思っていた戦友を失う。
この巻の一番の重要な発言は、ジャンヌに彼女の母が問いかけた、ランスの聖別を果たしたのになぜ故郷に帰らないのか、という一言だろう。
啓示の恐ろしさとは、与えられた使命の終わりを神が教えてくれないことなのかもしれない。
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