兄(にい)やん、兄やん、ふみこはここにおるでえ。
兄やんとよう熊野の川で泳いだねえ。
母さんの子供みんなで、春に、三輪崎の海岸へ、弁当たべにいったねえ。
兄やん、兄やん、わたしは兄やんの魂に呼びかける。
悲しいというより兄やんにそうやってたら会えるかもしれんというわたしの楽しみみたいなものや。中上健次と父が違う姉の独白。
複雑な家庭環境。
中上健次と父が違う兄(姉と父が同じ兄)は、二十四で自殺してしまった。
でも、あったかい。こういう言葉で語られる思い出は。
どんなに、その時がつらくても、悲しくても、何かいい思い出であったかのように変化してしまう気がする。
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