田村隆一の「1999」
90年代は、あまり、いい思い出がないが、この詩集は折に触れてページを開き、
田村隆一のライト・ヴァースなことばを楽しんでいる。
そして、自分は 二十世紀の世紀末を潜り抜けたのだなと、なんとなく不思議な感じを覚える。
ロートレックが稲妻のごとく仕上げた油彩と三百点の石版。
十九世紀は「人間」の最後の世紀。
詩人は、十九世紀以外に「世紀末」はないという。
そして、二十世紀の帝国主義を蟻のコロニイにも感じ、詩人は、女王蟻その姉妹、雄蟻、働き蟻の過酷な運命を描く。
ギリシャ神話では
アイギナ島の住民が疫病で全滅したとき
ゼウスは蟻をその住民に変えたという
さよなら 遺伝子と電子工学だけを残したままの田村隆一は、この詩集を発表して間もなく亡くなった。
人間の世紀末
1999
私が唯一、二十世紀の世紀末の匂いを感じる詩集「1999」
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