少女漫画家の大家たちが、どのような家に住んできたか、その履歴をインタビューしてまとめている本。若い時の苦労話も多く載っている。
私が子どもの頃、読んでいた作家の名前が多くあったので読んでみた。
総じて共通しているのは、以下の点だと思う。
・漫画家になるのは親に反対された
・家庭環境がそれほど裕福ではない
・仕事場の確保のために、でかい家を買う
一番、面白かったのは、「ガラスの仮面」の美内すずえだろうか。
名前をトラと名付けられそうになった話とか、一度読んだ漫画を全部頭の中に記憶して、授業中、再現していたという異常な記憶力のよさや、貸本のツケがたまりすぎて漫画が読めなくなったことが、漫画を描くきっかけになった話など、飽きさせない。
「生徒諸君!」の庄司陽子も、講談社の編集部と原稿料を交渉の末、数倍に上げさせた話や、編集者と不倫関係になっていたことが語られていて意外感があった。でも、母親のために「『生徒諸君!』御殿」を建てるなど、性格が(ナッキーみたいに)すごくいい人のように感じた。
「日出処の天使」の山岸凉子は、とにかく、家相・風水のこだわり方が尋常ではない。それは、この人とそのご家族も霊感が強いのか、不思議体験を数多くしているせいかもしれない。文中、
今世の中で流行っているものって、私にとってはもはや古いもの。みんなの想像を裏切らなければ、既成概念を壊す新しいものは作れないと思ってやってきました。
と述べているところが、いかにも山岸凉子らしい。
「パタリロ」の魔夜峰央は、売れない時代、古本屋や図書館で外国の推理小説やSFなど、半年で八百冊は読んでいたというエピソードが興味深かった。それと意外だったのは、2011年ころから五年ほど、経済的に厳しい状況があったということ。一発売れても、漫画家の世界は厳しいんですね(今は翔んで埼玉とか、パタリロの舞台化で持ち直しているようですが)。
他、自分が読んだことのない漫画家のエピソードも載っていますが、やっぱり作品を読んでいるかいないかで興味度合いが全然違いますね。