ロシア文学では、1890年代から1920年代にかけて、アレクサンドル・ブロークに代表される象徴派、マヤコフスキーに代表される未来派、アクメイズムなど若い詩人たちによる文学グループが組織され、才能あふれる詩人たちの興隆期があったという。
その時代は、プーシキンやレールモントフといった大詩人たちが築いた興隆期「金の時代」に対し、「銀の時代」と呼ばれるようになった。
本書は、作者が数年前ペテルブルクの古書店で偶然見つけた詩集「銀の時代の101人の女性詩人たち」をもとに、十五人の女性詩人たちの詩と彼女たちの人生を取り上げたものだ。
戦争と革命が起きた将来が見通せない不確実な時代。
その激動の時代は、彼女たちの人生に大きな影響を与えたが、辛くても詩作を止めることはなかった。まるで生き抜くためには、詩を作らなければならなかったのだというような、とても個人的で切実な思いが彼女たちの言葉から伝わってくる。
それは同じく戦争と不確実性が増す時代を生きる私たちだからこそ、余計に響いてくるのかもしれない。
翻訳とは素晴らしいものだとつくづく思う。彼女たちの言葉は百年前のものであることを感じさせずにまるで今発せられたかのように感じることができるから。